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手先は器用でも生き方は不器用

手先は結構器用だけれど 生き方は意外と不器用。 歯科技工学科の専門学校に通う若色唯咲、20歳の日記。

§ 偽りの日 入れ違い 思い過ごし

 
朝目が覚めたらいつもより時計の長針が10分進んでいた。
簡潔に言えば、どうやら目覚ましのスヌーズ機能を止めてしまったようなのだ。

遅刻をしては大変だ、と慌てて、我が家の二階の一番奥にある部屋を飛び出す。

すると階段の手前の廊下の曲がり角で唐突に妹の部屋のドアが勢いよく開き、


その部屋の主と目いっぱいに互いの頭をかち割らん勢いで衝突した。


寝ぼけ眼の裏に散る火花。

額を押さえながら目を開けると、



目の前には頬を押さえる自分の姿が。


鏡ではない。

自分がいる。

自分が二人?否。



自分は妹の姿になっていたから。





入れ違い。






衝突により頭の中身を残して入れ違いが起きてしまったようだが、
そんな些細なことは気にせず、遅刻しないことを前提に行動した。

各々朝食を済ませ、着替え、最寄り駅へ向かい、
自分の姿をした妹が下り列車に乗るところを上りのホームから見送った。


妹が乗った下り列車が出てからおよそ10分後、乗るべき上り列車がホームにやって来る。
いつも乗る、上り電車。

古臭い漫画みたいに、入れ替わった相手になりきって周りを騙して生活するなんて
バカな真似はしなかった。

妹も自分も、お互い今が重要な時期。
入れ替わりなんて、この際気にしない。

妹の姿にはなったけれど、中身は自分だ。
勉強する上で何も問題は無い。

寧ろ、入れ替わって環境の変化についていけないほうが余程問題がある。


電車に乗り込みながら自分自身に言い聞かせる。


3両目の一番目のドアが最近のお気に入りだ。
ホームの階段にとても近いからだ。


反対側のドアに寄りかかる男(といっても自分と対して年は変わらないだろう)の向かいに立った。

紫色のパンツに黒い袖なしジャケット、そして明るい茶髪。
あまりこういう格好は好きじゃないな。

駅を一つ過ぎ、二つ過ぎた。

三つ目の駅の手前の橋で電車が揺れた。
手を伸ばしてつり革を探ったが、妹の手では届かない。
いつものつり革が、遠すぎた。


バランスを崩して

正面にいた紫パンツの男の顎にヘッドバット。




逃げ出したい衝動に駆られるも、後から乗り込んできた乗客に逃げ道を断たれている。




 。


とりあえず黙って頭を下げておいた。

男からの動きは無いまま、三つ目の駅に着く。

終点まであと一つ。







【続く?】






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2006/09/04/Mon 23:28:50  【虚言】九割九分九厘捏造記事【日記】/CM:2/TB:0/
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